バキュバンの是非

先日のドイツワインセミナーにていろいろ楽しいためになるお話をたくさん伺ったのですが、その中にバキュバンの是非のお話がありました。



まずは酸化防止剤のお話から。

酸化防止剤(亜硫酸塩)は基本的にはどのワインにも入っているもので、酸化防止のほかに酵母の再発酵防止や赤ワインの色付きを良くする等、ワインの品質には密接に関わっています。

そもそも亜硫酸は硫黄を燃焼させて出来るお手軽なガスで、古くはローマ時代に壺などの殺菌に使われていた記録もあるらしいです。
また「食品衛生法」にてワインに使用される食品添加物に指定されていて(0.35g/l以下)、健康に問題が無いことが認められているものです。

そしてこの酸化防止剤(亜硫酸塩)を使用しない選択はなかなか難しいようです。
醸造時には高精度の濾過による酵母の除去を行ったり、ポリフェノールの酸化由来の色や味のボケなどを防ぐためにポリフェノールを選択除去するなどが必要です。
管理時にも温度や光対策などがより必要となるため、醸造家も飲む私達も管理が大変になると思います。
それゆえに無添加のワインは若くてフレッシュなものが多く、ビンテージ物は無いのですね。*1

ワインはそのようなガスが含まれている飲み物だと思っていいと思います。*2



そして、バキュバンの是非の話に戻ります。

キュバンとは以前に「バキュバン」と題して書かせていただいたワイン保存の便利グッズです。
これで空気(酸素)抜いてやって酸化を防ぐというもので、フルボディのワインなどでは結構重宝していました。
しかしながらこうやって瓶の中の気圧を低めてやることにより、ワインという液体の中に含まれる気体、つまり酸化防止剤(亜硫酸塩)が気圧の低いところに流れ出てしまうことになり、むしろ味を変えてしまっているのではないかという話を伺いました。

#ちょっとこのあたり重要なんですが、化学の成績がイマイチだったアホの子なので間違っていましたらご指摘いただけたら幸いです。
#それなら空気より重い「窒素ガス」充填ならそれも大丈夫なのかな?とか思うんですが、正直ガス高いんですよね…


で、ドイツのワインは農作物ワインということで、「(バキュバンしないで)まんま飲んだほうがいいよ」という結論のお話でした。
「酸化するなら酸化の過程を楽しめばよいですよ」、とのことでした。



たしかにいままで少し飲んできたワインたちと作りのベクトルがまったく異なり、甘いのだけど甘さの方向が違うし*3、すっぱいだけじゃない酸味とか理論で考えようとするから頭がこんがらがるのかもしれません。


でも・・・
まぁ・・・
飲もうよ!飲まなきゃわかんないぜ!*4


というわけで、バキュバンせずにコルク栓保存*5だけで3日目のドイツワインを楽しんでみました。
そしてアホの子ついでに*6、ドイツならソーセージだろJKとこんな食事に。



日に日に酸味がでてくるもののすっぱさで投げ出すほどではなく、十分酸化を楽しめるものでした。
私にとっては宗旨替えのような気分です。


ソーセージは普通の市販のもの、そして野菜はパプリカをミックスハーブでソテーしたものと牛蒡を軽く湯がいて水にさらして灰汁抜きをして和風ドレッシングにバルサミコで少し酸味を強くしたサラダを用意。
パプリカの甘みがワインの甘みとマッチして、バルサミコの軽い酸味とワインの酸味が調和してちょうどいい感じでした。
ただ惜しむらくは、適当に切ってしまったブルーチーズが濃すぎて合わなかったことで、せめてハチミツで緩和すればよかったかな・・・という感じでした。*7
2日目にブリーの切れ端とあわせていたのですがそれはおいしいけど普通すぎて・・・冒険しすぎた感じです。



明日はブルーチーズをおいしく食べる方法もしくはおいしいワインを考えてみたいと思います。
とは言っても・・・イケムなんて恐れ多いものは無いですから・・・。
もしくはまたアホの子ついでに別の冒険してみるか。






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*1:*無添加のフレッシュワインはそれはそれでおいしいと思います!

*2:*この食品添加物に関して「絶対必要」とおっしゃる食品学の大学教授さまの記事もありましたのでご紹介させていただきます。 http://d.hatena.ne.jp/yashoku/20090521/p1

*3:*ドイツワイン嫌いな人はこういうとこがとことん嫌いらしいです。でなければ某Pさんのように無視とか…

*4:*ドイツの田舎のおっちゃん風に

*5:*ただし刺さっていたコルクを逆につけるのはカビなどの雑菌が考えられるためNG。別の保存用コルクを用意しました。

*6:*といいますか冷蔵庫的に・・・賞味期限の関係からコレに。

*7:*ワインもチーズもほんの少しだけだったので反省してる間に無くなりました。