どうなるどうする 世界の温暖化 ワイン生産

『日経エコロジー』11月号にて表題のような気になる記事があったのでじっくり読んでみました。


地球温暖化が進んで平均気温が変わると農作物の作付け分布図が変わることは以前から言われていて、すでにいままで気温が低くて葡萄作付けができなかったイギリスでつくられたワイン*1が登場しているという話は過去エントリでも書いたとおりです。
日本ももちろん例外ではなく、リンゴとみかんの栽培適地が、気温上昇にともなって北へ移動するだろうという予測データもあります。*2


よって長期的視点では作付けが北上するか南方地域ではできなくなる程度の認識しかなかったのですが、現状もっとシビアに温暖化が進行しているようです。

記事中に特化して書いてあったのがアイスワインピノ・ノワール種に関して。

ご存知の通り、アイスワインは冬に葡萄が凍って水分が抜けるおかげで凝縮した甘みを味わうワインです。これが冬の気温が下がらないために凍らず収穫できないということがもう既に現実起こっているとのことです。これは個人的に非常に困る・・・w

またピノ・ノワールに関して。
平均気温が摂氏14〜16度という極めて狭い範囲の最適気温幅であるために気候変動の影響をとても受けやすい。場合によっては南方地域*3ではピノを栽培できなくなる可能性があると締められています。でも徐々にでしょ?と気楽に読み始めたのですが・・・




「葡萄の品種と最適気候帯」日経エコロジー11月号より


最悪葡萄のほうが品種改良などで温度適合をがんばったとしても、今の品質を保つのはむずかしいと考えられます。気候のバランスがくずれると、微妙な酸と甘みのせめぎあいやきれいなタンニンなどのバランスがだめになってしまいます。
個人的に酸味が苦手なのですが、かといって酸のないワインなど正直おいしくないです。猛暑だった2003年のルフレーブのバタールモンラッシュなどはなんじゃこれというのっぺりとした味わいで正直悲しかったです。*4
もちろんヴォーヌ・ロマネ村産の超高級なあのワイン*5も例外なく、品質がきっと悪くなるでしょう。
なので、余裕があるかたは今のうちにガンガン味わっておくのがよいと思いますw



と冗談はさておき、温度が高い地域のワインというとチリやオーストラリアなどのニューワールドを想像しますが、きっと果実味がんがんのぴっちぴち元気なワインが増えるのではないかと思います。
Pのおっさんの好みの方向性といえば若干そうなのですが、やたらとエクスレ度が高いばかりでアルコールが高いかがんがん甘みのあるワイン、そしてタンニンぎっちぎちな赤ばかりとなると・・・さすがのスイーツな私でもうぅ〜んという感じです。
また高温に適したシラーやジンファンデルばかりを仕込まれても悲しい世界です。



悲観的なことばかりを言っていても仕方が無いのですが、文明生活を捨てることはさすがにできかねますので、個人レベルではせめて無駄なエネルギーを発生させないよう努力することで温暖化防止することを継続していきたいと思います。*6


醸造家もカーボン・ニュートラルになるようエネルギー生産に投資するところも現れてきています。
そのお話はまた別のエントリでワインを楽しみながら書いてみたいと思います。



興味のある方は雑誌記事(A4全3ページ)も読んでみてください。
専門誌に該当するらしいので書店には無いかもしれませんが、自治体の図書館にはあると思います。


.

*1:*ナイティンバー http://d.hatena.ne.jp/love_wine/20090816#p1

*2:*果樹研究所調査:農業共同組合新聞HPより http://www.jacom.or.jp/archive02/document/kensyo/kens101s07050802.html

*3:コート・ド・ローヌあたり?

*4:*ワインテイスティング@芦屋 http://d.hatena.ne.jp/love_wine/20090909#p1 参照

*5:*ロマネコンティを指しているつもりですw

*6:*それとは別に今のうちにピノを模索してみたりおいしいシラーを探してみようと思いますw